まずは採用計画を
スタッフの募集をする場合には、あらかじめ選考基準、採用条件、給料、人数等を決めておく必要があります。
診療所の職員数は、内科系の場合、医療事務は常勤職員一人、非常勤職員2,3人が目安です。看護師は、常勤一人と非常勤一人が標準でしょう。ただし、この人数で100人程度の患者までは対応できるので、新規開業の場合は、最小限度に抑えることが必要です。
また、若い職員だけでは職員間のトラブルが発生するリスクも高いので、年齢バランスにも配慮する必要があります。
<採用までの流れ>
1.募集広告
待遇等が決定したら、求人媒体に掲載し、履歴書等の到着を待ちます。応募者以外に、業者や勧誘などの電話もかかってきますので、募集窓口を外部に依頼するケースが一般的です。電話での条件面に対する質問にも答えられるような体制をとる必要もあります。
2.書類選考
書類選考で落とした人には、早急に、丁寧な手紙を沿え、履歴書を返送しましょう。
3.面接
面接者が決定したら、一人15分~30分程度で面接時間を設定し、電話やメールで通知します。面接場所は、医院がベストですが、内装工事中であれば、公民館など、公共施設を利用するのがお勧めです。面接者は、医師本人、夫人、コンサルタント、税理士など。
4.採用通知・不採用通知
面接が終了したら、電話または書面で採用か不採用かの通知を行います。採用を決めても、相手から断られることもあるため、採用の通知を先にします。不採用通知は、近隣の住民も多いため、悪評を招かないように丁寧な断り方を心がけましょう。
また、一旦採用した職員が退職したときに備え、履歴書は面接者全員のコピーを保管しておく必要があります。
5.採用
最初の勤務日は開業日の2週間前にします。このとき、再度待遇や勤務規定を説明するとともに、後日のトラブル防止のため就業に際してのルールや注意事項をしっかり通知しておきます。コンサルタントや税理士・社労士と相談の上、文書で渡しておくのがいいでしょう。
6.研修・シミュレーション
開業後スムーズに作業が流れるように業務打ち合わせや電子カルテの勉強会を十分に行います。患者に対するマナーや掃除の分担についても話し合っておきましょう。
また、開院一週間前になったら模擬患者を設定し、シミュレーションを行います。患者への対応や受付から処方箋の発行まで何度も繰り返し行い、看護師にも受付のレセコンやコンピューター操作を学ばせておく必要もあります。
<募集方法>
- 求人誌
既存医院の募集でよく使われる手法ですが、広範囲にわたって募集できるので、反響は大きいと言えます。常勤職員や看護師を広域から採用する場合に利用することが多いです。ただ、多くの医療機関の広告も同時に掲載されているので、待遇面で見劣りするケースがあるリスクがあります。掲載料は媒体によって大きく違いますが、1回10万~20万円程度かかります。
- 折込チラシ(専用チラシ)
広告を兼ねることができ、開業地近辺から募集できるので、新規開業のスタッフ募集によく利用されています。自院の広告を1枚のチラシにして、新聞に折り込むのが有効です。ただ、効果としては、人材募集と言うよりは、新規開業や移転などの際のお知らせに使われる色合いが強いと言えます。費用としては、一色刷りで1枚8円前後必要で、2万枚ほど印刷することが多いので、16万円程度の支出になります。
- 求人チラシ
折込地域が広く、また安く募集できます。原稿は広告業者が作成し、様々な企業や医療機関などの求人情報がまとめて掲載されています。一般的に診療所の通勤圏内を効率的にカバーできるので、診療所に最も適した媒体と言えます。掲載料は1回3万円から7万円程度です。
- WEB媒体
チラシ類は、基本的には新聞を取られている家庭にのみ届くものなので、WEB媒体を検討する必要もあります。印刷代などもかからないので、チラシよりは安価で早く掲載されます。チラシを見る年代は比較的高年齢ですが、20歳代から30歳代の人は、WEB媒体だけで探している人もいるので、チラシとWEB媒体の両方で募集するのが効果的です。
- ハローワーク
無料ですが、募集をしてから採用までに時間がかかることが多くなります。中高年者が中心になりますが、いい人がいれば採用するというスタンスなら、募集を出しておいて損はないでしょう。
- 看護師の人材紹介会社
信用できる業者を選ぶ必要があります。費用も業者によって千差万別ですが、紹介料は、給料1ヶ月分から年収の20%程度が相場です。ただ、どうしても費用が高くなるので、なるべくなら避けたい選択です。
- 看板
開業地の開院予告看板にスタッフ募集を併記する方法です。通りがかりの際に見られるものなので、近くの人を採用できる利点はありますが、募集していることを患者様にも公開してしまう事になります。
■面接のポイント■
面接は、より客観的な評価を行うべく、院長一人ではなく、複数で実施するのが望ましいです。
言葉遣い労働意欲はもちろんのこと、性格や表情なども重要なチェックポイントです。
また、応募者の履歴書を見る場合には、職場を転々としていたり、短期間で退職していないかどうかチェックする必要があります。
提出書類としては、履歴書のほかに職務経歴書と希望条件も記入してもらうと選考の際に役立ちます。
看護師の場合は、応募者が少なく採用に苦労することも多いため、相手の都合を優先させることも必要です。
面接者からの主な質問
- 前職をやめた理由
- 家族の協力体制
- 特技
- 性格を把握するための質問
応募者からの主な質問
- 勤務時間
- 休日
- 給与
- 社会保険