ある先生のお話です。

開業に際し、過去一緒に勤務されていた看護師さんに声をかけられました。

ちょうど、その看護師さんも現在勤めていた老健を退職しようと考えていたとのことで、

是非とも先生のクリニックで雇ってほしいという話になりました。

何度か食事を兼ねたミーティングもし、親交を強められました。

一般的なクリニックではパートの看護師さんだけでスタートする事も多いのですが、

気心の知れた看護師さんに来てもらった方がいいからと、先生は採用することを決められました。

その看護師さんは、老健で夜勤もされていたので、夜勤手当だけで月に15万円程度貰われていたのですが、

クリニックなので当然そういうものは無くなります。

どころが、先生としても、何とか看護師さんの給与が下がることは避けたいと考え、

創業特別手当と言うものを作って10万円程度給与に上乗せすることも検討されました。

それでも、外来だけのクリニックでは、老健の給与には若干届きませんでしたが、

クリニックとしては破格の待遇でした。

そして、先生としては、給与体系を練りに練って、看護師さんに提案をされました。

看護師さんとしては、「しばらく考えさせてほしい」との返答をされました。

その看護師から「辞退させてほしい」との連絡があったのは、それから2,3日後でした。

先生としては、一緒に仕事がしたいと言ってくれた看護師さんのために、

何とか待遇面でも答えたいと努力されただけに、少なからずショックを受けられました。

経営面で言えば、高い給与の看護師さんを雇う必要がなくなったので、

私共としてはホッとした部分はありましたが、何とも残念な気持ちになりました。

看護師さんとしても、給料を下げてまで、と言う気持ちになったのも、もちろん理解はできますが、

クリニックとしては破格の給料だったこと、またそれでも収支が落ち着いてきたら更に昇給させることも

検討されていただけに、そもそもミスマッチと言う事だったのだと思います。

開業の際、一緒に勤務していた気心の知れた看護師さんに、来て欲しいという気持ちも分からないではないですが、

やはり病院や施設勤務の看護師さんを雇い入れると言う事は難しいと再認識した出来事でした。