医療従事者のライフパートナーの上尾正之です。
過去に出会った先生の例を書かせて頂きたいと思います。
もう10年位前のお話なのですが、転職をしたいとある先生からご相談を頂きました。
最初にお電話でご連絡を頂いたので、希望条件や時期など、色々とヒアリングを試みたのですが、何だか話しにくそうにされているので、とにかくお会いする事にしました。
3日後に都内のターミナル駅近くのホテルロビーでお会いしましたが、第一印象としては、大人しそうな先生だな、と思いました。
お話ししている内に、ようやく先生の話しにくかった理由がわかりました。
それは、その先生は医師免許の停止処分を受けられたと言う事でした。
理由としては、奥さんへの暴力による傷害罪によるものでした。
詳しくお話をお聞きすると、その時点ではもう離婚は成立していたのですが、先生にとっての結婚生活はかなり厳しいものであったのです。
勤務医としての給料は全部管理されていて、自分の小遣いは、貰えなかったと。
当然バイトで稼ごうと当直バイトなどを入れたものの、その給料も持って行かれて、もっと稼げと言われ続け、ついにキレて平手でほっぺたを殴ったところ、即診断書を取られて、被害届を出されたと言うのです。
その後は、起訴されて有罪となり、医師免許の停止処分となったのでした。
目の前の大人しそうな先生がDVをされたとはとても思えず、まずは真偽を確かめるため、先生の弁護士さんにお話を伺う事を申し出て、弁護士さんにお会いしました。
そこで先生の言われていた事が真実であった事はわかりました。
その上に、その元奥さんは先生とは初婚ではなく、以前の結婚相手も医師で、同じように傷害で訴えられて、示談金を手に入れていた事も弁護士さんから聞きました。
先生、引っ掛かっちゃいましたね、と言う感じでしたが、その医師免許の停止処分が理由で、どこの病院を受けても不採用となるので、なんとか助けて欲しいと言われました。
そこで、医療機関の担当者に説明するために、説明書を作成し、匿名経歴書と共に送り、併せて説明させて頂きました。
当然、半分以上の医療機関からは、「免停を受けた医師は採用できない」と言う反応でしたが、いくつかの医療機関からは、会ってもいいという返答を頂きました。
その中の一つの郊外の中規模病院の院長先生から、「過去にどんな事があったとしても、医師としての倫理に反しない事であれば、問題ない。」という言葉をもらい、面接のセッティングをさせて頂きました。
面接後、男気のある院長先生から「これからは、僕が守ってあげるから、安心して入職しなさい。」と言う言葉に先生も感動され、入職が決定しました。
先生には長らくお会いしていませんが、10年経った今でも院長先生と一緒にお仕事をされている様で、僅かながらもお役に立てたかと思っています。